清聴登場

映画・社会・歴史を綴る

2020-01-01から1日間の記事一覧

デービッド・アトキンソン『国運の分岐点』を読む

この著者の発言やテキストは、いつ見ても実に歯切れがよく、分かりやすい。先ごろ出版されたこの本も、読みはじめると、ほとんど立ち止まるところもなく、先へ進むことができた。それというのも、その論旨が明快だからだ。要するに、日本の生産性が国際比較…

ロスジェネ世代の「問題」は何でないのか(1)

❑ドイツと日本の狭間で作品を発表し続けている多和田葉子が、岩波現代文庫にもなった『エクソフォニー』というエッセイ集の中で、こんなエピソードを紹介している。 ―もう20年以上も前になるが、まだ日本に住んでいた頃、アテネ・フランセで『車に引かれた犬…