清聴登場

映画・社会・歴史を綴る

2023-01-01から1年間の記事一覧

「やさしい猫」余情

『やさしい猫』は、中島京子による日本の小説。読売新聞夕刊の連載小説として2020年5月7日から2021年4月17日まで書き綴られ、2021年8月19日に中央公論社より刊行された。作品は、第56回吉川英治文学賞の受賞作となった。 この原作を基に、NHKがテレビドラマ…

エリザベス・ギャスケルの短篇

19世紀のイギリス小説はまさにアルプス山脈とでもいうべきもので、ディケンズ、サッカレー、エミリー・ブロンテ、ジョージ・エリオット、トーマス・ハーディーなど、多くの巨匠が肩を接してそびえ立っている、と語ったのは、英文学者兼翻訳家の小池滋氏です…

ヘルンさんの「日本昔ばなし」

小泉八雲という人のことは、多少は知っているでしょう。子供の頃に、「耳なし芳一」や「のっぺらぼう(むじな)」の話、あるいは日本の怪談でも最も有名な説話の一つ「雪女」の物語なら、一度は聞いたことがあるに違いありません。 たぶん、そのいくつかはTBS…

新美南吉の童話の世界

新美南吉とは、キツネの物語「手袋を買いに」でもよく知られる童話作家のことです。南吉は、東京外国語大学英語部文科へ入学した19歳の時に、『赤い鳥』に「ごん狐」などの童話を寄稿しています。その後、いくつかの職を遍歴した後、生まれ故郷の村に近い安…